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バスに乗ったのは13時10分。
シンは午前中は家にいないと言っていたから、亜紀が着く頃には、寄り道をしたとしても、家にいるはずの時間。
50分程揺られて、最寄りのバス停で降り、シンのマンションに着くと、計算通りいい時間帯だった。
そこで亜紀は、マンション前でわざとメールを送る。
《会いたいよぉ~》
と、シンをビックリさせるため。
《迎えにいくよ》
すぐ届いたメールに、
《いいよ、バスでいくから》
そう返信した。ってもう下にいるんだけどね……。
《いいよ、迎えに行くから待ってて》
そうきたから、
《いまバス乗った》
と送った。そう小さな嘘をついた。
《わかった、じゃあ待ってる》
そうメールを終えた。今行ったら、ビックリする事間違ないなし。
エレベーターで6階に上がる、カバンから合鍵を出して初めて使ってみる事にした。
「えへへっ」
なんだか嬉しくて、笑みがこぼれる。
エレベーターから降りて、シンの部屋の前へ……そして扉の前に辿りつくと、鍵をゆっくり差し込み、回した。
カチャ。
開いた!!
嬉しくて思わず笑顔がこぼれた。扉を開けて、
「ただいまぁ~」
なんて言ってみる。シンがビックリして玄関に走ってくると思ったんだけど……、
来ない。
「あれ?」
部屋に入りシンを探すが、何処にもいない。
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