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本当はこのまま帰りたい……。
無かった事にしたい……。
見なかった事にしたい……。
でも、
《もう着くよ》
そう送って、行くしかなかった。
今帰ったら……なんだか負けの様な気がした。
見なかった事にしよう……。そう思っても、見たことに変わりはない。
今にもポキッと折れてしまいそうな気持ち、本当は泣いてしまいたいけど……確かめる必要がある。
きっと何か事情があったんだ。
電球が代えれないとか、瓶の蓋が開かないとか、排水口がつまったとか。
きっと、そうだよね……。
シンに限って浮気なんてない……信じてるもん。
本当は怖いけど、疑っちゃうけど……信じるもん。
シンの部屋の扉の前まできた、シンの財布をカバンの中にしまい、チャイムを押す。
すると、少しして扉が開いた。
「おかえり」
その微笑みはいつもと変わらない、態度もいつもと変わらない。
「ただいま……」
大丈夫なにもない。
亜紀も笑顔で答え、家の中へ。
リビングに行き、すぐにソファに座った。
「熱くなかったか? 麦茶飲む?」
「うん」
シンは亜紀の頭を撫でるとキッチンへ行った、そのうちに亜紀は財布を静かにテーブルに戻した。
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