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――『亜紀……なんか辛そうだけど、バス酔い以外に理由があるんじゃないのか?』
そう聞かれてドキっとした。シンが勘付いているんじゃないかと……でも、あずさの部屋で何をしていたのか……怖くて聞けない。
「何もないよ」
そう答えた。するとシンは、
「ちょっと、こっち向いて」
と、言ってくる。今、シンの目をジッと見つめる事は出来ない……きっと不安や嫉妬で目をそらしてしまう。
黙っていると、シンに無理矢理顎を捕まれて、シンの顔が視界に入る。
目が見れない……。
「亜紀……俺の目を見て」
見れない……シンに絶対にばれてしまう。
「亜紀、そんなに気分悪いのか?」
「うん……」
そう頷くしかなかった、そしたら、この状況から逃げ出せる。そう思ったから。
でも、シンは手を放すと。
「ふ~ん、そう。
俺は嘘つかれるのが一番嫌いだ」
そう言って立ち上がり、亜紀に背を向けた。
「えっ?」
思わずシンの背中を見てしまう。
「俺に言いたい事あるだろ? 聞きたい事あるだろ?」
シンの言った事は当たっている……でも、どうしてシンがそう言うのか。
やっぱり……シンに気付かれた?
そう想うと、怖くなった。
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