*…小さな嘘…*

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 なんで素直に聞けないのか、自分で自分が嫌になる。  黙っていると、シンは亜紀に背をむけたまま。 「言いたくなかったら言わなくていい、俺に聞く事がなかったら聞かなくていい」  それから少しためて、シンはこういった。 「亜紀のとこから、バスは1時間に一本、40分でつくわけないし、今お前がここにいるのはおかしい」  確かに、バスに乗ったと言ってから、まだ40分……。 車で早くても40分かかるのに、バスに乗った亜紀が今ここにいるのは、時間的にあわない。 「さっきテーブルになかった財布がなんでテーブルの上にある?」  完全にシンは気付いている。 「俺が何処行ってたか、見たんだろ?」  亜紀は、どうしたらいいのか分からなかった。胸が苦しくて……。シンに何を言ったらいいのか分からなかった。
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