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「俺はお前から聞かれない限り、何も言わない。お前が何を言いたいのか分かったとしても、言わない」
そう言うとシンはキッチンへ行き、黙ってお湯を沸かし始めた。
……。
静かな部屋……。
どうしよう……。
亜紀は、どうしてこんな事になったのかと、俯いていた。
シンはきっと怒っている……こんな私に。
シンが何を考えてるのか……分らない。
――亜紀は黙ってソファに座ったまま……俯いている。
ちょっと、言い過ぎたか……。
そんな亜紀を横目でチラッと見たシンは、コーヒーを作る準備をしていた。
あそこまで言ったら、普通聞いてくるだろう。そう思っていた。
いや……いじめ過ぎたかも。
でも、こうでもしなきゃ亜紀はずっとこの先もこうやって、シンに何も言えず、何も聞けずにいるだろう。
コーヒーをいれて、ソファに戻った。
でも、亜紀の隣りには座らずに、斜め前のソファに座った。
亜紀は下を向いたまま。
「まだ気分悪そうだな、ベッドで休んだら?」
本当はこんな事、言いたくない……。
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