*…小さな嘘…* #2

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 その亜紀の言葉を聞いて、シンは立ち上がると、亜紀の隣りに座り抱き締めた。  えっ……?  シンの温もりが、亜紀を包む、そして香水が鼻をかすめた。 「亜紀……亜紀を嫌いになった訳じゃない。 俺には亜紀しかいないし、お前しか好きじゃない」  シンの腕の力がますます強くなった。 「ごめんな……泣かせたりして。安藤のとこに行ったのは、安藤が風邪で寝込んでいるからなんだ……亜紀が考えているような事は決してない」  心の中につっかえていた物が、スーっと溶けていく感じがした。 「これから、不安や悩み、俺に不満があったら、すぐに言ってこい。 お前はすぐに、ため込むから……俺は心配なんだ」  シンが冷たく接した事も、突き放した事も、全部自分のためだった……そう気付いた亜紀は。 「ごめんなさい……」  そう泣きながらシンに抱き付いた。素直になれない私を、素直にさせるために、シンはわざと冷たくしたんだ。  あんな風にされるんだったら、素直言った方がいい、亜紀は身を持って感じていた。
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