21人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、亜紀の思考は暴走していく。相沢は、亜紀の質問にちゃんと答えた。
次の質問にも、でも、相沢は『なんで嫌なんだよ、好きなのに』そう言ったのである。それは亜紀が『嫌とか思わなかったか』と聞いたからだ。
相沢の答えを聞いた瞬間に、なんだか目頭が熱くなっていくのを感じて、亜紀は抱いていた膝に顔をうずめた。
なんだか自分が最低に思えて、もう過ぎた事なのにシンを嫌だと思う自分が嫌で、苦しかった。
「なんか悩んでるわけ? 俺が相談乗ってやるよぉ~」
そう言って、相沢は亜紀の隣りに座った。
この言葉を言ったら、私は楽になるのでしょうか?
シンに言う勇気を持てるでしょうか?
誰か私の背中を押してください。
「私……嫌なんです……。シンの事は好きなのに、触れられるのが嫌なんです」
「なんで?」
相沢の冷静な口調で、それで、亜紀は涙を堪える事ができた。
「おぼえてます? 洋子先生ぇの事」
「あぁ……」
ねぇでも、感情は溢れ出す。今まで想像してきた映像が頭の中で流れ出す。
「シンの手が……私じゃない誰かに触れたと思うと、嫌なんです。キスマークとか、もろに見ちゃったから……想像しちゃうんです。先生はどんな顔して抱いたんだろって……」
瞳からは、やはり涙が流れた。頭から消したい、そうおもっても、逆に映像は鮮明になっていくばかり。
自分自身が、気持ち悪かった。
最初のコメントを投稿しよう!