*…触れたくて…* #2

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 隣りで笑っている君は気付いているだろうか……。  もう君で最後にしたいと言っていると言う事を。 「ふふふっなんかおかしいオジサンだなんて」  いつ君の全てを手に入れる事が、出来るだろう。  長い睫毛も愛らしい目も……。  シンは思わず、亜紀の頬へと手を伸ばしていた。亜紀は気付いていなかった、シンが触れようとしている事を。 (いつになったら……)  手が頬に触れたとき、彼女の体が揺れる。 (触れる事は出来るだろうか……) 「ごめん、ビックリしちゃった」  君が笑顔で誤魔化すから、今は流す事しかできない。 「謝らなくていいよ」  そう手を引っ込めた。  今は逃がしてあげるけど……今夜は逃がしてやらない。  亜紀の口からちゃんと聞いて、苦しみを、全て取り除きたい。  亜紀の体にはみえない壁がある、そしてそこにはグルグルと何重にも巻き付いて解けない鎖がある。  自分がどれだけ彼女を傷つけたのか、きっとこれは彼女を傷つけた罰。  恐がる君を。  拒絶する君を。    見ている事が、とても苦しい。自分以上に苦しんでいる事がわかるから、尚苦しい。  バツ。  代わりに全てをウケるから、彼女を解放して。  強く握られた左手、シンは自分が亜紀に弱い事を実感していた。
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