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隣りで笑っている君は気付いているだろうか……。
もう君で最後にしたいと言っていると言う事を。
「ふふふっなんかおかしいオジサンだなんて」
いつ君の全てを手に入れる事が、出来るだろう。
長い睫毛も愛らしい目も……。
シンは思わず、亜紀の頬へと手を伸ばしていた。亜紀は気付いていなかった、シンが触れようとしている事を。
(いつになったら……)
手が頬に触れたとき、彼女の体が揺れる。
(触れる事は出来るだろうか……)
「ごめん、ビックリしちゃった」
君が笑顔で誤魔化すから、今は流す事しかできない。
「謝らなくていいよ」
そう手を引っ込めた。
今は逃がしてあげるけど……今夜は逃がしてやらない。
亜紀の口からちゃんと聞いて、苦しみを、全て取り除きたい。
亜紀の体にはみえない壁がある、そしてそこにはグルグルと何重にも巻き付いて解けない鎖がある。
自分がどれだけ彼女を傷つけたのか、きっとこれは彼女を傷つけた罰。
恐がる君を。
拒絶する君を。
見ている事が、とても苦しい。自分以上に苦しんでいる事がわかるから、尚苦しい。
バツ。
代わりに全てをウケるから、彼女を解放して。
強く握られた左手、シンは自分が亜紀に弱い事を実感していた。
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