*…触れたくて…* #2

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――「亜紀お風呂先に行っておいで」  あれから、暗くなるまでドライブをしたあと、帰宅した。 「シンから先に入って」  ソファに座っている2人は、互いにお風呂を譲りあっている。 「亜紀がお風呂入っているあいだに、ちょっとやりたい仕事があるんだ」  そう言われると亜紀は、先にお風呂に入るしかなかった。バスルームに亜紀が姿を消した。  それを確認すると、シンは立ち上がり玄関へと向かい、靴を履くと外へでた。そして隣りのあずさの部屋の呼び鈴を押した。  少ししてから、ドアが開く。 「体調はどう?」  シンは、あずさの顔を見るなりそう聞く。 「……」  あずさは何も言わなかったが、顔色から判断して、良くなっているのは明確だった。そっとシンはあずさの額に触れる。  熱もない……。 「良くなったみたいでよかった」  そう言うと、シンは自分部屋に戻ろうとする。そんなシンの手をあずさは掴まえた。 「ちょっと上がっていってください」  あずさは、視線を下に落としシンの顔を見ずにそう言って来る。
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