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「いただきまぁ~す」
テーブルで向かいあい、料理を口に運ぶ。
「おいしいか?」
「ふん、ほいしい」
亜紀はチャーハンを頬張りながら、話すためちゃんと発音できていない。
「よかった」
彼女の幸せそうな顔を見ると、こっちまで幸せになる。亜紀は黙々と料理を口に運ぶ。会話はあまりなかった。
「ご馳走さまでしたぁ。お腹いっぱい」
食べ終わるとお腹をポンと叩いて、亜紀は食器を片付けるからと、シンをお風呂へと行かせた。
(やっぱりシンは料理うまいなぁ~)
シンがバスルームへ消えた後、お皿を洗いながら、そんな事を考えていた。これから自分が窮地に立たされるとも知らずに。
――「ふぅ……さっぱりした」
お風呂から上がってきたシンは、ソファでテレビをみている亜紀の側にいき座った。
「いいにおい」
シンが座った途端に、石鹸の香りが亜紀の鼻をかすめる。シンはニコリと笑いソファに深く座り直した。
「このテレビ面白いよ」
テレビにはお笑い番組がでていた。ピンクの洋服をつけたゴッツイ男が、「トゥスッ」と指を立てて言っている。
「あはは」
亜紀はそれを見て笑っていた。
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