*…触れたくて…* #2

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「おもしろい?」 「うん」  しばらくの間は、2人とも黙ってテレビに視線を向けていた。  シンはどうやって話しを切りだそうかと、考えている。ふと時計に目をやると、もう10時前だ。 「あのさ亜紀」 「うん?」 「いつ寝る?」 「このテレビ見てから」 「わかった。俺は先にベッド行ってるから」  そう言って、シンは寝室へと移動した。寝る前にじっくり話せばいいと考えたんだ。  寝室に入ると、ベッドのそばにある小さなスタンドライトをつけて、本を手にとり開いた。読んでいるわけではない、ただ開いただけ。  隣りの部屋をカーテン越しに見る、するとバッチリ亜紀と目があったが、亜紀はすぐに目をそらして、テレビの方を向いてしまった。 「……」  なんだか嫌な予感が、シンはした。もしかしたら亜紀は、話しをするのが嫌なんじゃないか。 「亜紀、テレビ終わった?」 「ま、まだだよ」  明らかに、動揺している。 「話しがあるんだけど」 「もう少しで終わるから……もうちょっと待って」  テレビに目をやると、こちらに手を振っているお笑い芸人が数人いて、テロップが右から左へと流れていた。 「あとどれくらいで終わるの?」 「……30分くらいかな」  なんとも分かりやすい嘘をつくのかと、シンは気付かない振りをして、わかったと答えた。
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