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「めんどくさいよね……私」
「そんな風に思ってない」
「お願い……そんな顔しないで」
一体自分はどんな顔をしているのか、それすら分らない。
思わず目を閉じてしまった。自分が自分じゃなくなりそうで、苦しくて悲しくて自分が許せなくて。
深呼吸を繰り返していた。
「シン……?」
不安気な声、シン同様、亜紀もどうしたらいいのか、分らずにいた。
沈黙が続く……。
亜紀は絶えきれないというように、泣きじゃくる。嗚咽が聞こえてきた。
「お願い……なんか言って」
目を開けると一生懸命涙を拭いている亜紀の姿。なんて自分は酷い人間なのか、亜紀を放っておいて。
「ごめん」
そう言い、亜紀を抱き締めた。
(どうすればいい……)
――亜紀は一時間ほど泣いて、疲れたのかシンの腕の中で黙っていた。
(どうなっちゃうんだろう……)
シンは何を考えているんだろうか。亜紀は顔をあげてシンを見た、視線が合う。
「お願い……キスして」
亜紀の言葉にシンは目を見開いた。が次の瞬間、亜紀が唇を重ねる。腕をするりと首に回して、自ら深く口づける、体重をシンの体に預け、シンは倒れそうになり、後ろ手をついた。
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