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「焦らずゆっくり、克服していけば良い……。だから別に泣く事ない。俺と一緒にがんばろう」
シンの言葉に、亜紀はポタポタと涙を流す、その涙はシンの頬に数滴落ちた。
「泣かなくていいから」
そう頭を引き寄せて抱き締める、亜紀は泣きながら。
「一緒に頑張る……」
と呟いた。
――あれからどれくらい経っただろう。亜紀はシンの腕枕で寝ていた。泣き疲れたんだろう。
シンは腕枕をしている手で、優しく亜紀の頭を撫でる。
もう片方の手は、自分の胸辺りにある亜紀の手を握っていた、その状態に少し安心感みたいな物を感じている自分は、繋がっている手を信じているからだろうか。
手と手。
目に見える確かな物だからこそ、安心するのかもしれない。
心と心。
繋がりなんて、目に見えない。それに、本当に繋がるという事なんてあるのだろうか……自分がそう思っているだけで、実に不確か。
だから怖いのかもしれない。
だから触れたいのかもしれない。
触れたい。
触れたい、
触れたい。
それは君が愛しいから……。
何処かで繋がりたいと思うから。
気がつけば、繋いだ手をギュッと握っていた。
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