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でもそのすぐ後に、さっきとは逆で温かさより冷たさをもつ液体が、下へ下へと流れていくのを感じた。
シンもシャワーに打たれている……もう二人ともさっきよりもビショビショだった。
「亜紀……顔あげて」
亜紀はなかなか顔をあげない、するとシンは亜紀の顎を掴みクイッと上へと向ける。
「やっと顔が見えた」
シャワーの打ち付ける音が、響いている。髪からも雫がポタポタと落ちていく。
「泣くな……」
シンは亜紀を抱き締めた。すると亜紀も腕をまわして抱き付く。
「あの女の人……誰?」
シンの胸に顔を押し付けて、亜紀は聞いた。
「あの人は元カノだ」
そう言った瞬間、亜紀はシンから離れようとしたが、シンは力を強めて亜紀を離さなかった。
「勘違いするな、何もないから。俺には亜紀だけだろ?」
「本当に?」
顔をあげた亜紀は、ジッとシンを見つめた。視線が絡まる。
「当たり前だろ……」
でも、亜紀は納得していない、シンの事を不安そうに見ながら。
「でも……なんで一緒にいたの?」
それからシンは亜紀をなだめるように、ゆっくりと説明した。
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