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「亜紀から風呂入って、風邪引いたら俺が嫌だから。そのまえに……ちょっと目閉じててくれるか? 俺服脱ぐから、このままリビング戻れないし」
「う……うん」
亜紀は壁の方を向いて目を閉じていた。シンはその間に洋服を脱ぐとタオルを巻いて、電気をつけバスルームを出て行った。
ドアの閉まる音が聞こえて、10秒後……やっと亜紀は目を開く事ができた。
「はぁ……」
体の力が抜けたのか、その場に座り込む。ドキドキする心臓に手を当てて、何度も深呼吸をした。
それから、順番に風呂に入り、シンは洋服を持ってきていなかったため、上半身裸にタオルを巻いている状態だった。
「ミスった……これじゃ何処にも行けないし、洋服取りにも戻れない」
そう呟くシン。亜紀はシンの事を一度も見ないし、なんだか気まずい。
「わ……私……ちょっとコンビニ行ってくる」
亜紀は早足で部屋を出て行った。
「ドンマイおれ~」
そう言い、シンは自分を慰めていた。
――
(無理無理無理、無理!!)
亜紀はコンビニに向かいながら、何度も心の中で連呼している。
シンの裸を見るなんて恥ずかしくてしかたがなかった。絶対に顔を見たとしても視界に入る、絶対に顔が赤くなる、そう思うと部屋にいるという事が出来なかった。
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