*…花火…* #3

1/10
前へ
/35ページ
次へ

*…花火…* #3

「そんな事言わずにさ」  麗子の前に立ちはだかる男。 「彼氏と約束してるんです」  そう麗子が言うのも聞かずに、男たちは逃げないようにと2人を取り囲む。彼氏と言ったが実際は誰とも約束なんかしていなかった、その場しのぎの嘘に男たちは気付いているのかもしれない。 「ねっ!! 俺たちの方がきっと楽しませてあげられるからさ」 (怖い……)  亜紀は麗子の手をギュッと握った。それに麗子も手をギュッと握り返す。その時だ、 「ちょっとそこのお兄さんたちぃ~、人の連れになにしてんのかなぁ~?」  聞き覚えのある声が聞こえた。 「あぁあ?」  男達の1人が不機嫌そうにいい、声の方を向いた、亜紀たちもその方向を見た。 「さっさと散ってくんない? うざいからさぁ~」  いつもの軽い口調。 「はぁ? ウザイのはお前」  男1人が胸倉を掴んだ。すると、手首を掴み。 「そんな事したら、ただじゃすまないよ」  ニコリと笑いながら言ったのは、龍の絵が入っている甚平をつけた相沢だった。 「やんのかテメェ!!」 「別にいいけど……知らないよ?」  相沢先生は売り言葉に買い言葉を返している。すると相沢の肩を叩いて。 「相沢やめろ」  止めに入ったのはシンだった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加