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道という道はなく、芝生の上を歩く。相沢の合図で皆止まり、
「ちょっと待っててね」
相沢は居なくなった。残された3人は、花火を楽しみに待っていた。
数分して戻ってきた相沢の手には何処からもってきたのか段ボール。それを芝生に敷き、皆で座った。なぜか亜紀と麗子を挟んで、男は端に座る。
相沢の隣りになった麗子は、なんだか気まずそうだったが、それを気にしているのは麗子だけらしく、相沢はいつもの様にハイテンションで、昔からの友達の様に、ひたすら話しかけている。
「お前さ、少しは静かにしたら?」
シンの言葉も無視して、相沢は止まらなかった。そして、花火の打ち上げの時間が近付くと、皆でカウントダウンをしようと言い出し、10からカウントした。
「「10……
9
8
7
6」」
声が合わさる。
「「5
4……」」
その時、亜紀の手にシンの手が重なった。ギュッと握られる手に、亜紀はビックリしたが、嬉しくて自分も握り返す。
「「3
2
1」」
ヒュ~~~。ドーン!!
凄い音と共に、空には大輪の花が咲いた。
「すごぉ~い」
あまりの綺麗さに、思わず口をついて出てくる言葉。相沢の言った通り、一番良いスポットだろう。今までに見た事ないくらい、花火を近くに感じた。
次々と打ち上げられる花火は、咲いては消えていく。
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