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――「何処いくの?」
あれから亜紀が準備をしてすぐ、チェックアウトした。車に乗り込み、すぐの質問だ。
「佳奈が帰るらしいから、送る」
「そうなんだ」
佳奈が帰ると聞いた瞬間、亜紀の顔がとても明るくなったのをシンは見逃さなかった。
「そんなに嬉しい?」
「えっ? そう見える?」
「見える」
亜紀はプイッと窓の外へと顔を向け。
「あたりまえじゃん……」
ボソっと呟いた。
そうして車はシンのマンションへと向かった。
――――
――
「やっぱり、ここに住みたい!!」
なんて我が儘なお嬢様なのか、佳奈はシンの部屋から出ないと言い出し、ソファから動こうとしない。
「いい加減にしろよ」
シンは呆れている。亜紀はキッチンの方から2人のやり取りを見ていた。
「なんで、彼女ちゃんまで連れてくるのよ。2人で行くはずだったでしょ」
そう佳奈は亜紀が来たことが気に食わないらしい。
「それはお前の我が儘だろ」
亜紀は、なんで自分が居ちゃいけないのかと、少しムカッとしていた。
「彼女がついてくるなら、私は行かない」
佳奈の視線が痛い、凄く睨んでいる……睨みたいのはこっちの方だと、亜紀は拳を強く握りしめた。
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