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――あれから数日
ピンポーン。
部屋に響くチャイムの音で、亜紀は学校にいく支度をしていたが、手をとめ玄関へと向かった。
(こんな時間に誰だろう?)
まだ、朝8時前。シンは仕事のため、来る訳はない。思い当たる人もいない……扉を開けるまで、ずっと誰なのかと考えていた。
「はぁ~い」
扉の前に立っていたのは、隣りに越してきたばかりの直樹。
「あっ、朝早くにごめんね。砂糖貸してくれないかなって思って。砂糖ないとコーヒーが飲めなくってさ」
「うんいいよ……。ちょっと待ってて」
なんだろう……か、直樹には独特な雰囲気があって、話すのは2回目だったが、前から知り合いのような感覚だった。歳が近そうという事も関係してるのだろうか。
亜紀は砂糖の入った容器を取ると玄関へ。
「はい」
「借りるね」
「うん」
「ところでさ、名前何?」
「私?」
「他に誰がいるの?」
それもそうだと思いながら、亜紀は自己紹介をした。すると。
「亜紀ね。宜しくね。たまにさ、こういう風に物とか借りに来ちゃうけどいいかな?」
「あっ全然大丈夫」
「そっか良かった」
それから少し立ち話をした。直樹は亜紀の1つ上で、大学生。建築に関する勉強をしているとかで、昨日徹夜だったらしく、コーヒーで目を覚ますのだとか。
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