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『今なにしてる?』
「学校に行く途中だよ」
『そっか。気をつけて行けよ』
「うん」
それから15分くらい話をしたあと、電話を切った。切りたくない気持ちでいっぱいだったが、電話の向こうで懐かしい授業のチャイムが聞こえたから、仕方なかった。
パタン。
携帯を閉じてカバンにしまった。
(今日も頑張ろう)
――――
――
「はい……次は間違えるなよ」
シンは英語の授業をしていた。さっき亜紀の声を聞いたからか、生徒が間違えを黒板に書いたが、笑顔で生徒を席に戻した。
「先生ぇ~、なんか今日は機嫌良いですねぇ~」
一人の女子生徒が声をあげると、あちこちから「そうだぁ~」とか「なにか良い事あったの?」と声があがった。
「いつも通りだ」
そう言ったものの、先程亜紀と電話した後だからか、自分でも機嫌がいつもより良いのは分かっていた。
「先生ぇ~彼女でしょ?」
「えぇ~!! そうなの?」
「だから機嫌いいんだぁ~」
あまりに教室が騒がしくなってきたため、早く沈める為に。
「まぁな、はい授業するぞ」
そう言ったが、それは逆効果で、教室は先程に増して騒がしくなったため、シンは静かにしないとテストをすると言い、それでやっと静める事が出来た。
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