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――「んっ……」
「大丈夫?」
亜紀が目を覚ました頃には、辺りも暗くなっていた。亜紀はというと、何故自分が今ここにいるのか、ここが何処なのか全然わからない。
上半身を起こすと亜紀は辺りを見渡した。木造のその建物は、淡い光りに包まれていて、おしゃれな喫茶店。
「お嬢ちゃん、水飲みな」
タオルを頭に巻いていて、口と顎髭をはやした30代くらいだろうその人は、白いTシャツに黒のエプロンを着ていたため、亜紀はすぐにこの店の店員だとわかる。
「ありがとうございます」
冷たい水が喉を通り胃へと入っていくのを感じた、それから亜紀は自分がどうしてここにいるのか記憶を辿る。
(そういえば……酔っ払いに絡まれそうになったんだ。でも、私……その後どうしたんだっけ? 殴られた?)
すぐに顔を触ったが、痛みを感じる場所はなく……息苦しかった事を思い出す。
「お嬢ちゃん。大丈夫か?」
心配そうに見てくる店員に、亜紀は大丈夫だと頷いた。
「よかったぁ、気失ったからビックリしたよ」
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