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「……私、気を失ったんですか?」
亜紀の発言に店員は一瞬ビックリしたようだが。
「怖かっただろ? 覚えてないのは仕方ないよ」
そう言い、近くに置かれていたカバンを亜紀に渡す。
「ありがとうございます」
「気分が良くなるまで休んでっていいから。お腹とかすいてない?」
「大丈夫です。本当にありがとうございます」
亜紀は深く頭を下げた。そしてしばらく休んで行くことにした。亜紀を助けて、保護してくれたのは店の店長で、斉藤 直人、35歳。亜紀は名前だけ聞いたのだが、斉藤は年齢などまで答えてくれたのだ。
「今度お礼させてください」
「そんなのいらないよ」
「いえ、させてください」
「そこまで言うんなら……」
亜紀は1日だけのバイトを提案された。日曜日にちょうど人手が足りないらしい。
「やります。やらせてください」
そして、今週日曜日バイトすることが決まった。携帯番号を斉藤と交換してから、店を出た。
家に向かって歩きだす、もう辺りはすでに暗い。時計を見ると8時を過ぎていた。酔っ払いが暴れていた場所は、まるであの事がなかったかのように静まり返っている。
思い出すとまた手が震えてしまい、亜紀はすぐに携帯をカバンから出すとシンに電話をかけた。
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