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「まだ寝てる……」
公務が終わり、ホテルに戻ってきたシンは、亜紀がまだ寝て居るのを見て、どおしようかと考えていた。
これから佳奈をある場所まで送る事に、いきなりなってしまったのだ。
亜紀も連れて行こうと考えていたが、起きそうにない。でも、置いていったらいったで、また不安にさせるかもしれないと思うと、無理矢理起こすしかなかった。
「亜紀」
「ん~っ」
まだ眠いと、目を閉じたまま顔をしかめている。
「あ~き」
「ん……」
少しだけ目をひらいたから。
「ただいま」
と声をかけると。
「おかえりなさい……」
眠そうな声で答えた。まだ夢見心地なんだろう……また目を閉じようとしている。
「帰るよ」
揺すったらようやく体を起こした。目をこすって、伸びをしたかと思うと目が合った。
「……」
「……」
みるみる赤くなっていく顔。
「いっ居たんだ」
今気付いたのかと、笑いたくなったが、亜紀の動揺している姿が可愛いくて、苛めるのはやめた。
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