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斉藤はシンに気付かずに歩いてくる。そしてもう2メートル程。その時、
バチッ。
目が合った。
「細川先生……」
斉藤の足は止まっている。友達は気付かずに歩いていた。斉藤の視線が、列の先を見ていた亜紀にいった瞬間。
「最悪……」
そう言いシンを睨み付けると、走って建物から出て行こうとする。
「斉藤!!」
呼び止めたが止まらない。
「亜紀、ちょっと待ってて」
「えっ!? シン??」
シンは斉藤を追いかけた。亜紀は何が起きたのか全然わからないまま、シンが走っていく方を見る、シンは女の子を追いかけていた。
(何がおこったの……)
――斉藤は案外足が早かった。
追いかけて、やっと肩を掴んだ時には、会場から100メートル程離れていた。
「待てよ……」
さすがにシンも全力で走ったため、少し息が切れていた。
「……」
背を向けたまま息を整えている斉藤に、何を言おうかと考えていると。
「なんっで、追いかけてくるんですか」
そう肩を揺らしながら言ってきた。
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