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シンの抱き締めている手を、ゆっくり擦り、少しでも楽になるように、ずっと側に寄り添っていた。
――朝。
昨日食べれなかったケーキを、朝食と一緒に食べた、シンは全然元気がない。
「頑張ってね。連絡待ってる。いつでも電話して」
「ありがとう。行ってくる」
そう言って亜紀をギュッと抱き締めた後、『充電完了』と仕事へ出かけていった。亜紀も支度を始める。
昨日の出来事は結局、シンには言えないまま、大した事ないと。
(今は普通だし、大丈夫)
思い出しても息苦しくなったり、手は震えないし、きっとあの時怖かっただけだと、もう考えない事にした。
(シン大丈夫かな?)
今はシンの事だけが、心配だった。
――「皆おはよう、出席を取ります。赤井、石川……」
シンは出席をとっていく、皆元気よく返事を返してきた。気持ちはブルーだったが、生徒の前ではそれを表に出しちゃいけないと、いつも通りを心がける。
そして、問題の生徒の名前を呼んだ。
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