25人が本棚に入れています
本棚に追加
――――
――
数日後。
「これで英語の授業を終わります」
教室から出て行く生徒たち、その中には斉藤の姿もあった。
シンは斉藤を目で追いながら、どうしようかと考えていた。
あの日以来、まだ一言も会話を交わしていない。斉藤はシンの事を無視していた。
亜紀もあの日以来、もの凄く元気がない。『本当に付き合ってていいの?』そうメールが来たり『ごめんね。力になりたいのに、なんか何も出来なくて』と寂しいメールばかりを送ってくる。
亜紀のせいじゃないのに……そうシンは何度も思って、亜紀に大丈夫だと返信をする。実際のところ現状は何も変わらず、シンも悩んでいた。
(早くどうにかしないと……)
――その頃亜紀はというと。
「なんか元気ないよね最近」
そう麗子に突っ込まれていた。
「うん……色々あって」
亜紀は被服室のテーブルにもたれて、溜め息をついた。もう少しで授業が始まるがなんだかやる気がでてこない。
それもあの日からだ……。
「むずかしい顔して、何悩んでるの? 相談のるよ」
麗子の言葉が嬉しかったものの、今はそれを言う事自体も、苦しかった。
「ごめん……もうちょっと1人で考えてみたいんだ。ごめんね」
「わかった。あっそうだ、飴玉あげる」
最初のコメントを投稿しよう!