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「斉藤」
呼んだが返事がない。
「斉藤 エミ。居るならちゃんと返事」
「はぃ」
斉藤は外を向いたまま、シンを見ずに返事をした。
(一体俺は何をしたんだ……)
斉藤の態度にまたブルーになったが、次の生徒の名前を呼んでいく。あの言葉を言われる前は、斉藤はいつも黒板の方を向いて元気良く返事をしていたのに。
「よし、皆いるな。じゃあSHR(ショートホームルーム)を始める」
黒板にチョークで重要な日程を書いていく。
(結構……キツいな。充電きれそ……)
そう思いながら、シンの時間は過ぎていった。
そして、昼休み。
「斉藤、ちょっと来なさい」
シンは昼休みに教室に行き、斉藤を呼び出した。いかにも嫌そうにシンの後についてきて、二人は生徒相談室へと向かった。
めぐみ先生に許可を貰い、相談室という、8畳程の部屋を貸してもらっていた。奥にはめぐみ先生の机、中央に長テーブルがあり、茶色い3人掛けのソファがテーブルを挟んでいる。
「斉藤、座って」
斉藤をまず座らせて、シンは向かい側に腰掛けた。
「なんでしょうか? 私、先生と話したくないんですけど」
ショートの髪の毛を耳にかけると、赤縁眼鏡をくいっとあげ、入口の方をみている。
「聞きたい事がある」
「なんですか?」
「先生、斉藤に何かしたか?」
「……」
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