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亜紀はずっと麗子にベッタリ引っ付いて歩いていた、まるでシンを避けているかの様に。
シンはそれに気付いていたが、何も言わずに皆の後ろを歩いていた。
「亜紀、見てみ。あれ怖い顔してないかぁ~」
「ほんとだぁ~相沢先生みたい」
「俺はあんなに不細工ではないぞぉ」
普通に会話を交わしている2人が、シンには羨ましかった。
必ず亜紀は相沢か麗子の隣りにいき、自分の隣りには並ばない。
この状況をどうにかしなければ……。
「あぁあ、せっかく誘ってやったのにシンちゃん何してんのさぁ~!!」
「俺も正直困ってる……俺を避けている事バレバレだし」
「あぁ元気そうにしてるけど、相当きてるんじゃない」
少し離れたところから、相沢と2人で亜紀たちを見ていた。
「斉藤との事がちゃんと終わらなきゃ、ずっと亜紀はあのままかもな……」
そうシンは溜め息をつきながら、呟いた。それを聞いた相沢は眉間に皺を寄せると、
「あのさ……お前さ、俺に失礼だとか思わないわけ?」
相沢は怒りだした。
「はっきり言って俺に失礼だろ!! 俺から亜紀を奪いやがって。お前ら見てるとムカつく……。
幸せいっぱいならまだしも、なんだよこの状況。あぁ腹立つ。
お前に渡した事が間違えだったのかもな」
そう言うと相沢はスタスタと亜紀の所へ歩いて行ってしまった。
いきなりの相沢の言葉に、動けないでいたシンは、自分が情けないと思った。
何も変えれず……ただズルズルと引きずっていると。
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