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「なにが悲しくてお前となんだよ」
「嬉しいだろ」
「嬉しくないね」
2人はブツクサ言いながら歩きだす。なんで2人は喧嘩腰なのか、亜紀は訳が分からずに、麗子の隣りに並んだ。
「面白いね、あの2人」
クスクスと笑いながら、麗子は相沢たちを見ている。
「面白い?」
「うん」
それから、皆でイルカショーを見ることになった。シンと相沢は隣り同士に座ったので、亜紀は麗子と並んで前の席に座った。
「細川、いい加減にしろよ」
「お前もな!!」
黒いオーラが漂う2人の前には、穏やかなオーラが漂う2人。
「亜紀、楽しみだね」
「うん」
楽しんでいるのは、亜紀と麗子だけのようだ。相沢はもうふて腐れていた。
「俺はお前の為に動いてやったんじゃないからな! それだけは覚えておけよ」
「はいはい」
相沢の言葉をシンは軽く流した。イルカショーが始まり、観客席では歓声が上がる。
水しぶきをあげてジャンプをするイルカたちに、いつしか見とれていた。
限られた囲いの中で、ダンスをしたり球を付いたり、空中に飛び上がりまた水中に戻る。とても優雅に楽しそうに……。
そう思っているのは、人間だけなのかもしれない。
あのイルカたちに自由はあるのだろうか?
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