25人が本棚に入れています
本棚に追加
沈黙……。
数秒後、斉藤はシンを睨んで、
「何も。もう戻ってもいいでしょうか?」
と立ち上がろうとした。それをシンは止め、なんで幻滅したのか理由を教えて欲しいと、頼んだ。
何もないのに、何故幻滅されるのか、理由が知りたいのは当たり前である。
「先生、分らないんですか?」
「分らないから、聞いている」
すると斉藤は目を細めて、
「先生は、教師だという自覚がないと思います」
その言葉に、シンはショックを受けた。黙って斉藤をみていると。そう言われる節が1つだけ頭に浮かんだ、もしそうだったら、軽蔑されても何も言えない。
斉藤は深呼吸をすると。
「木下亜紀さんと付き合っているんですよね? しかも今年卒業していった、私達の先輩と」
一番言われたくない事をいわれた。
「どうなんですか? 先生は生徒をそんな目で見ているんですか?」
「付き合ってはいる。亜紀は特別だ」
「その人は特別って、でも先生は教え子に手を出したって事ですよね」
シンは何も言えなかった。斉藤の言っている事は当たっているからだ。
「そんなの最低です。先生の事、尊敬してたのに……。
理由はこの事です。では失礼します」
そして部屋から出て行った。シンは何も言えず、斉藤が居なくなったソファを見て、そのまま頭を抱えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!