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(ヤキモチかな……?)
亜紀は少しして、リビングに向かう、シンはソファに深く腰をおろしテレビをつけていた。
そんなシンに抱き付きたい衝動にかられたが、今の亜紀にはそれを押さえてしまう引っ掛かりがあり、そのまま斜め前のソファに座ってしまう。
「なんで隣りにこない?」
シンはテレビに目を向けたまま、そう聞いてきた。いきなりの質問に亜紀はどうしたらいいのか、黙っていた。
嫌な沈黙。
「亜紀、俺の事嫌いになった?」
「そんなんじゃない」
テレビの音がやけに大きく聞こえる程、2人の間は静かで。
「俺を避ける理由は? 俺といるとつまらない?」
「ちがうよ」
「まだ一緒にいちゃいけないとか、俺のためなら別れてもいいとか思っているわけ?」
亜紀は唇を噛んだ。確かにそう思っていたからだ、まだあの問題が片付いていないため、そう考えてしまう。
「全部俺が悪いんだよな。ごめんな。
送ってくよ」
すぐに立ち上がったシンはテレビを消すと、車の鍵を手にとり玄関へと向かった。
「シン……」
亜紀の呼び掛けを無視して。これからどうなってしまうのか……お互いが複雑な気持ちだった。
――――
――
「どうしたらいいんだろう……もう分かんない」
亜紀はシンに送って貰った後、部屋で1人ブツブツ言っていた。
車内で会話はなく、帰り際に「またね」「じゃあ」と会話はそれだけ。
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