*…大嫌い…* #2

8/19
前へ
/35ページ
次へ
「貴方が私といるのは嫌だと思うけど、約束したから帰るわけにはいかないから……」  そう言い亜紀は、お粥の入っているお椀を、斉藤へと突出した。それをジッと睨むように見つめている。 「いらない」 「食べて」 「いらない」 「食べて」  何度か同じやり取りを繰り返し、 「あぁ~! 分かったわよ。食べれば良いんでしょ食べれば。食べたら帰ってよ!」  そう言い斉藤はお粥をぶっきらぼうに取り、ベッドから抜け出しテーブルの前に座ると食べ出した。  静かな部屋の中、2人に会話は無い。それで亜紀はテレビをつけた。 「勝手につけないでよ……」 「静かな部屋よりは良いでしょ?」  お粥はゆっくりだが少しずつなくなっていった。  顔がほんのり赤く、前より目が少し小さくなっている斉藤を見て、亜紀は熱が上がったんじゃないかと、思わず左手を出し、斉藤の額に触れていた。 「何すんの!?」  それに斉藤は驚いている。 「熱……どれくらいあるのかと思って」  すぐに左手を引っ込める。額の熱さがほんのり左手に残った。この熱さの事は、ぬくもりと言うんだろうか? 「食べて終わったら熱はかってね」 「……」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加