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「貴方が私といるのは嫌だと思うけど、約束したから帰るわけにはいかないから……」
そう言い亜紀は、お粥の入っているお椀を、斉藤へと突出した。それをジッと睨むように見つめている。
「いらない」
「食べて」
「いらない」
「食べて」
何度か同じやり取りを繰り返し、
「あぁ~! 分かったわよ。食べれば良いんでしょ食べれば。食べたら帰ってよ!」
そう言い斉藤はお粥をぶっきらぼうに取り、ベッドから抜け出しテーブルの前に座ると食べ出した。
静かな部屋の中、2人に会話は無い。それで亜紀はテレビをつけた。
「勝手につけないでよ……」
「静かな部屋よりは良いでしょ?」
お粥はゆっくりだが少しずつなくなっていった。
顔がほんのり赤く、前より目が少し小さくなっている斉藤を見て、亜紀は熱が上がったんじゃないかと、思わず左手を出し、斉藤の額に触れていた。
「何すんの!?」
それに斉藤は驚いている。
「熱……どれくらいあるのかと思って」
すぐに左手を引っ込める。額の熱さがほんのり左手に残った。この熱さの事は、ぬくもりと言うんだろうか?
「食べて終わったら熱はかってね」
「……」
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