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「さぁ、2人にお話しでもしてあげよっかなぁ~」
小さな赤子を抱く手は、温かくて相沢は父親の顔になっていた。
――――
――
事故にあい、あれから10年が経つ。
あの日、シンと交わした約束を、今も俺はわすれちゃいない。
固く結んだ約束。
――もし俺になにかあったら、亜紀を頼む――
映画やテレビでしか聞いた事のない台詞、それは相沢にとって、胸を締め付ける言葉だった。
消毒液の匂いを嗅ぐと、今でもあの時の苦しみや悲しみを思い出す。
それから3日後。
シンは目覚める事なく、他界した。
シンを愛していた亜紀は、どん底に落ち、元気も生きる気力も失っていった。
憔悴する亜紀を慰め、励ましたのは、相沢だった。
亜紀の側に寄り添い、励まし続けた。
「俺がずっと側にいるから」
泣き続ける亜紀を抱き締めて。
それから亜紀がやっとシンの事から立ち直ったのは、3年後の事だった。徐々に元気を取り戻し、本来の亜紀に戻っていった。
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