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あの後、シンは危険な状態ではあったものの、なんとか一命をとりとめていた。そして何の後遺症もなく、ゆっくりではあったが、回復していった。
相沢の話は全部作り話で、亜紀とシンは順調に交際を進め、事故後2人の絆はさらに固くなり、亜紀の母親の約束を守って、亜紀24歳、シン35歳でめでたくゴールイン。皆に祝福されました。
それから4年後に産まれたのが、心愛と優樹。
名前の由来は、相沢のお話しとそんなに変わりなく。
色々な障害があったが、2人は幸せな家庭を築く事ができたのでした。
優は跡取りとして、旅館を仕切っていて、毎日大忙し。
それから相沢も、
「おっ電話だ。誰だあ~? 亜紀、心愛ちゃん抱っこして」
相沢の手から心愛を抱き上げる亜紀。相沢は電話に出た。
「もしもし、今細川んち」
亜紀とシンはチラチラと相沢を見ている。
「うん、なにぃ!? 陣痛!! うまれるぅ!!」
大きいな声をだしオロオロとしだした。
「いっ今から行くから。うん、じゃあ」
相沢が電話を切ったのを確認すると、
「産まれるの?」
キラキラと目を輝かせて亜紀が聞いた。
「うっ、産まれるって。おっ俺どうしよぉ……早く行かなきゃ」
焦っている相沢を見て、シンは笑うと優樹をベッドに寝かせ、
「送ってってやるよ」
と相沢に落ち着くように言い、2人で病院へと向かう事になった。
「行ってらっしゃぁ~い」
亜紀は2人を見送る。
「行ってきます」
とシンが言い。
「がっ頑張ってくる」
と相沢が言う。
「頑張ってね。パパさん」
「俺頑張る!」
そして7時間後。無事相沢家に長女が誕生した。
――「ただいま」
「おかえり」
シンは帰ってきた。
「相沢に似てたよ」
「ほんとに」
「あぁ、可愛い女の子だった」
「そっかぁ」
靴を脱ぎ、リビングへと向かう。
「シン~」
といきなり抱き付いてくる亜紀、
「ん? どうした?」
すると上目遣いにシンを見て。
「大好きだなぁ~っと思って」
と笑った。
シン39歳、ふいに言われた亜紀の言葉に、少し顔を赤くしたのでした。
―――皆に幸あれ。
―END―
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