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その場所に車を走らせる。隣りにいる亜紀はまだ何処に向かっているのか気付いてないらしく、外をぼぅと眺めていた。
「眠いか?」
そう声をかけると、
「お腹もいっぱいだからちょっと眠気がするだけ」
と答えた。
「着いたら起こすから眠ってていいよ」
そう言ったが、亜紀は起きてるといい、しばらく他愛もない話をしていた。が、静かになっていく車内、流れる景色を見ている亜紀は、限界だったのかスースーと寝息を立てていた。
(まぁいい。逆に好都合だ)
アクセルを踏む足に力が入る。グングン道をのぼる車は、数十分後ある場所で停車した。
シンは時計を確認する。
(やっぱり早く着いた)
亜紀が眠ってくれて良かったと安堵する。静かな車内、音楽だけが静に聞こえる。
シンは亜紀の寝顔を見た。そして、時がくるのを待った。
――午前零時。
ガタンという音ともに周りの照明が消える。それを確認してからシンは亜紀を起こす事にした。
「亜紀、着いたよ」
揺すると眠そうに目を擦りながら起き、辺りを見回している。真っ黒なため何処だか分らないのだろう、首を傾げて。
「どこ?」
と聞いてきた。
「とっておきの場所。すぐ分かるよ、降りよう」
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