47人が本棚に入れています
本棚に追加
「私はもっとだよ……」
小さく聞こえる声に、シンは愛しくて愛しくてたまらなかった。
「可愛いやつ。だから放っておけないんだよ」
シンは亜紀の肩を掴み、自分の方へと向けた。向かい合う2人の視線は自然と交ざる。
「亜紀、聞いて欲しい事がある」
真剣な顔に、亜紀はドキンと心臓が大きくなった。
肩から離れた手は、ポケットの中へ。そして小さな箱が取り出された。
「っ……」
箱や真剣な表情をみれば、それがなんだか分かる。ただのクリスマスプレゼントじゃないって事。
(うそ……)
思いもよらない出来事に、亜紀はシンの顔をジッと見ていた。
「俺は、これからもずっと、亜紀と一緒にいたいと思っている」
風が強いのに、それが冷たいのに、そんな事全然気にならなくて。
「お前を守っていきたいし、ずっと俺の側にいてほしい」
白くなった息さえも、全てが愛しい。
今までの出来事が、頭の中で駆け巡る。辛かった事や、悲しかった事。
楽しかった事や嬉しかった事。それ以上に側にいれる幸せを。
(シン……)
真剣な眼。
「亜紀……」
もう貴方の声しか聞こえない。
まだ夢の中にいるのか……。
最初のコメントを投稿しよう!