I fall in love:変な刑事

10/12

282人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「気のせいじゃないんですか。はい、ここが図書室です」  今は授業中のため誰もいない図書室の扉を開き、しっかりと中を見せる。すると滑り込むように中へ入り、周囲を見渡してから本棚の隙間やあちこちをチェックするように、じっくりと見始めた。 「ツンは嘘つきだね。この間といいさっきといい大人に対して、優等生みたいな答え方するんだから。嘘つきは、泥棒の始まりだよ」 「別に……俺は嘘、ついてません……」 「別にって。ほらまた嘘をつく。そうやって視線泳がせながら、ポケットに手を突っ込んでる姿が、嘘の証拠なの。俺を見くびらないで欲しいなぁ」  一応現職の刑事なんだから。と一言呟いて、肩をすくめた。  俺はどうしていいか分からずフリーズしたまま、その場に立ちつくすしかない。 「ごめんごめん。困らせるつもりなかったんだ。ツンが俺の尊敬していた先輩に似てるもんだからつい、かまいたくなってしまって」 「尊敬していた先輩に似てるだけっていう理由で、こんなに弄られるのすっごい迷惑なんですけど……」  変な刑事が言った理由に呆れて、思わず睨んでしまった。 「まぁまぁ落ち着いて。目つきの悪いトコとか素直じゃない所が、ソックリなんだよね。一緒にいるだけでドキドキしちゃう」  何故か照れながら言う仕草に、ぞわっと悪寒が走りまくる。思いっきり顔を引きつらせ、微妙に距離をとってやった。 「うわぁ……何てオゾマシイ事、言うかな。つか、この間警察に勧誘したのって優秀だからとか言ってたけど、ホントは先輩に似てるからっていうのが、理由じゃないのか?」
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加