I fall in love:変な刑事

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「当たり! 初めてツンを見た時は息が止まったんだよ。背丈も髪型も全然違うのに、持ってる雰囲気や目つきがどことなくソックリでさ。思わず勧誘せずにいられなかったのは、やっぱソコだろうなぁ」  呆れる俺に上目遣いしながら、ボソボソ話し出した変な刑事。  ――おいおい、マジかよ!?  猜疑心たっぷりの眼差しで見ると、しまったと顔に書いてあるようだ。 「だったらさ四六時中その先輩とやらにくっついて、歩いてればいいだろ?」    不機嫌丸出しで思った事をそのまま口にしたら、途端に大きな眼を潤ませて、口をへの字にした。  大の男が泣くのか!? 「ツンの意地悪ッ子! 尊敬していたって過去形なの、気付かなかったのか。しかもそういう口の悪いトコまで似てるって神様、酷過ぎる……」  鼻水をすすりつつ一気に喋ってから、傍にある机に突っ伏し、シクシクしだすとか、おい!  待ってくれよ。泣きたいのはこっちだっつ~の。もう、どうすりゃいいんだよ…… 「あの……悪かった。謝るからさ。その、泣くのは勘弁してくれないか?」  仕方なく謝る俺の言葉を聞き、途端にピタッと泣き止む変な刑事。 「じゃあ俺の事、これから水野って呼んだら許す……」  突っ伏しながら鼻声で呟くように言った。年上の社会人に向かって名字呼び捨てって、どうよ!? ホント、何考えてるんだ?
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