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「えっと、デカ長さん。でしたっけ?」
「驚かせてしまって、済まないね」
人の良さそうな垂れた目をさらに細くして、俺をじっと見てくれる。
「やっぱ高い所からの眺めってのは、いいもんだなぁ。地上で犯人追っかけてばかりいると、気が滅入っていけねぇや!」
そう言って、うーんと伸びをして、気持ち良さそうにしていた。
「あのバカもこっち来てまずは全体像を、把握すりゃいいのにな。あんな所で小難しい事考えったって、何も掴めないだろうに」
「うちの学校……何か事件に巻き込まれてるんですか?」
俺が質問するとデカ長さんは腕を組み、少し考える仕草をする。
「俺の質問に答えたら、教えてあげてもいいぞ?」
水野みたいな、変な質問……この人がするワケがないよな。という一抹の不安を抱えつつ、俺はコクリと頷いた。
「この学校に隠したい問題や事件、何かあるかい? 誰かに強く恨まれていたりとか」
「う~ん……分かってるだけなんですが、正直問題自体ないと思います。イジメも分かり次第、対処しているし……校則もきつ過ぎず緩すぎずだけど……」
顎に手を当てて必死に考える俺を見ながら、しっかりメモを取るデカ長さん。
「だけどって事は、何か気になる点でも、あるのかい?」
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