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慌てて締めていた腕を離し強盗のマスクを剥ぎ取って、その様子を見ると、気持ち良さそうに気絶していた。
「悪い事をしたんだから、多少のお仕置きは必要さ。お手柄だったね、高校生!」
嬉しそうに言って、俺の肩をポンポン叩く。
ホント、気絶するまで、やっちゃって良かったのか!?
日頃の憂さ晴らしになったようで、正直に喜べないでいる俺を、不思議そうな顔をして、じっと見つめるサラリーマン。
「謙遜するなんて、珍しい高校生がいたもんだ。遅ればせながら、俺はこういうモノです」
そう言って、胸ポケットからドラマでよく見る黒い手帳をジャーンと見せてくれた。
――なんだ、刑事だったのか。
「そこのコンビニから通報あってね。ちょっと前に近場のコンビニも、強盗に入られてたから、近隣を捜査していたんだ。いやぁ、ビンゴビンゴ」
「捕まって良かったです……って、どうして手錠しないんですか?」
なぜか持っている紐で、強盗の手首をグルグル巻きにしていた。
「俺、三課の刑事じゃなく一課の刑事だから。応援要請あって、ヘルプに出てただけだし」
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