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その言葉に、小首を傾げる。
「へぇ、自分の手柄にしないんですか。何から勿体ない感じしますけど」
「手柄が欲しくて、犯人を検挙してるわけじゃないよ。世の中、平和であってほしいなぁと思っている傍らその実は、ギブアンドテイクな世界なんだ高校生。こっちも人手が欲しい時は、応援要請するからね」
「いろいろ……あるんですね」
警察の内部事情を、少しだけ垣間見た気がした。
「ところで高校生、こんな時間に外をブラブラしているのは、どうしてかなぁ? 名前、教えてくれる?」
顔はにこやかだけど、有無を言わせないプレッシャーを感じさせる口調に、思わず身構えるしかない。
「私立校三年の矢野 翼です。塾の帰り道に、強盗に遭遇しちゃいました……です」
「翼君か。三年生なら11月の今が辛い時だねぇ。受験勉強、大変でしょ?」
「はぁ、そうですね……」
「突然だけど、結構目つき悪いね。目が悪いの?」
「はい?」
初対面の人間に、何の質問だよコイツ。ワケ分かんねぇ。
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