I fall in love:変な刑事

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「一応視力、両方とも1.5あるんで、目は悪くないです」 「ふむ、良いね」  腕組みしながら俺の頭から足の先まで、マジマジと見てくれる刑事。  ――何か、あんのか?  訝しそうにしているとさっきと同じように、ポンポン肩を叩かれてしまった。 「翼君、警察官にならないかい?」 「は?」 「君のように目つきが悪くて柔道経験者なら間違いなく、刑事になれるから!」  おいおい、何の勧誘だよ。しかも褒めてるのか、けなしてるのか分かったもんじゃねぇ。 「あの……柔道経験者といっても、実際小中六年間だけやってて、あんま強くなかったし、他にやりたい事、あるし……」 「何、やりたいのかな?」  間髪入れぬ、矢継ぎ早の質問に、俺は顔を一瞬引きつらせるしかない。ヤベェ、やりたい事なんて、正直何もない――  困って視線を彷徨わせながら、何とか答える。 「えっと、普通のサラリーマン。みたいな……」 「普通のサラリーマンって、どんな感じかなぁ。抽象的だよねぇ」
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