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まるで取り調べされてる、容疑者みたいだ。すげぇイヤな感じ――
俺は変な刑事の顔を、少し睨みながら答えてやる。
「別に、刑事さんには関係ないでしょ。ほっといて下さいっ」
「まぁそう、ツンツンしないで。あっ、翼だからこれから、ツンって呼んでいい?」
これからって……まるで友達として、付き合っていくみたいな感じの流れじゃないか。
「イヤですよ、そんな変な呼ばれ方」
「そうだ、是非とも拒否りなさい少年。こんな変人に引っかかっちゃ、君の人生、終わりだからね」
俺に変な質問していた刑事の真後ろに、眼鏡をかけた初老の男性がいた。
「げっ、デカ長。いつの間に……」
「お前が地取りから戻ってこないから、捜してたんだボケ! 何を呑気に、少年をナンパしとるんだっ」
俺はポカンとしたまま、2人のやり取りを聞いていた。デカ長と呼ばれた人が変な刑事の頭を、容赦なくグーで殴る。
「つっ、痛いなぁ。だって人手不足で困っている警察に、優秀な人材を補充出来たらいいなと、純粋に思ったんですってば」
殴られた頭をさすりながら、俺をじっと見る。
その視線に俺は優秀でないからなという思いを込めて、しっかり睨んだのだが、当然伝わるワケもなく、ニコニコしながら見つめ返してきた。
「いろいろと、ホント済まない少年。さっきあった事を詳しく説明してもらわにゃならないから、まず自宅に電話して遅くなる事を伝えてくれないだろうか。あのバカ、無視していいから」
「はぁ、分かりました……」
デカ長さんに、コンビニまで連れて行かれる俺を、嬉しそうな顔をして、見ているアイツ。
もう二度と会う事はないと、思っていたのに――
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