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……どうして変な名前で、俺を呼ぶんだよ。説明すんならマジメに名字でやればいいのに。イライラするな。
変な刑事は校長と俺を見ながら爽やかに笑顔を振りまき、すっと立ちあがった。校長も立ち上がったので、それに倣う。
「こちらこそ、当日は宜しくお願いします。あと例の件も、穏便に……」
「任せて下さい。とりあえず校内を見て回りたいので、ツンを借りていいですか?」
さっきからツンツンって、変な呼び方しやがって。しかも、どうして俺なんだよ。受験生の俺が授業を抜け出して、わざわざ来てるんだっていうの!
「矢野君この後、用事ないよね。水野さんに詳しく、校内を案内してあげて下さい」
「……分かりました」
俺はしょんぼりと肩を落とし校長に一礼をしてから、来た道を戻るように案内し始めた。
「ツンは随分と俺の事、嫌ってるみたいだね。どうしてかな?」
変な刑事が校長室を出て、直ぐに話しかけてきた。そういう質問がイライラするんだと言いたいのは山々なんだが、相手は刑事だから勿論、そんなことが言えるワケない。
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