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「やっと寝たか……」
規則的に聞こえてきた寝息に、ほっと胸をなで下ろす。何かに集中していないと、水野に手を出してしまいそうな自分がいた。
「本人無自覚で、俺を誘ってくるからなぁ」
そこんトコが始末に負えない。ガキな俺は時々、どうしていいか分からなくなる。
伸びをしながらゆっくり立ち上がり、棚に置かれた物を手に取った。
ドラマでよく見る警察手帳に、免許証。今よりもあどけない、水野の写真が笑える。
隣に置かれたメモ帳をパラパラ捲ると、事件の概要が細かく書いてあった。その詳細な内容が、水野の性格を表している。
――ドジらないように、しっかりメモをとってるんだろう。
音を立てて捲った、メモ帳の最後のページに何かが挟まれていて、ふっと手が止まった。
「写真……?」
二枚挟まれていた内の一枚は、なぜか俺だった。
(いつの間に撮ったんだよ。お前は俺のストーカーか!?)
内心苦笑いしてから、二枚目の写真を手に取る。それを見た途端に息を飲み、固まってしまった。
どこかの居酒屋で、撮られたものだろう。テーブルには、ビールやおつまみが並んでいる。水野がふてくされた様子で、隣にいるヤツを睨んでいた。睨んでるクセに、口元は緩んでいて――睨まれているソイツは、してやったりな顔をして水野を見ている。
俳優並みに整った顔立ち……
テーブルに置かれた水野の手の上に、しっかりとソイツは指を絡ませていて、仲の良さが明らかだった。
「……もしかしてこれが、山上なのか――」
コイツの目つきと俺の目つきの、どこが似てるんだって言うんだよ。
振り返って、寝ている水野をキッと睨んだ。
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