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幸せそうな顔をして、ぐっすりと眠る水野。人のことを嘘つき呼ばわりして、自分だってしっかり嘘をついてんじゃねぇか。
イライラしながら、もう一度写真を見る。
仲の良さそうなふたりが別れることになろうとは、このとき思っていなかっただろうな。
幸せそうに見えるふたりの写真を見て、シクシクと胸が痛くなり、自分の写真を重ねてから、さっさと元に戻した。
「俺の隠し撮りの写真、比べたくないけど……すっげぇ幼く見える」
山上とは一回り以上年齢が違うだろうから、それは当然のことだろう。それでも俺は負けたくなかった。
「まずは身長、デカくしないとな。体全体も今より、大きくしたい!」
水野のすべてを包み込むような、優しい眼差しをした山上。お前には、絶対に負けない! 俺だって、水野が好きなんだ。
決意も新たに、急いで元の場所に戻り、参考書と向き合った。
「しっかり勉強して、警察官になるトコから始めないと……ドジな水野をこの手で守らないといけないから」
学生生活をして、これまでこんなに必死になって、勉強したことがあっただろうか。目標を持つと、先がしっかりと見える。
だから頑張れた。大好きな水野のために――
そして……
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