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山上先輩のお墓参りに、ふたりで並んで歩いている。何か不思議な気分だった。
途中立ち寄った花屋で翼は、真っ白なバラを買ったのだけれど――白いバラを持つその姿は、とても様になっていて格好良かった。まるで、どこかの王子様みたいだ。
「ねえツン、どうして白いバラなんて買ったの?」
ドキドキする胸を抱え、見惚れながら訊ねてみる。俺の視線を受けてから、気まずそうな顔して、あさっての方を向く翼。
「俺が見た山上のイメージが、これだったから……」
その台詞に、俺は首を傾げた。いつ見たというのだろう――?
「お前ん家で受験勉強してるとき、水野が寝てるのをいいことに、ちょこっと持ち物チェック、しちまった。メモ帳に挟まれた写真、見たんだ――」
「あ……」
「俺の写真があったのも、かなりビックリだったけどさ、しっかり山上の写真もあって、ちょっと妬いたんだぞ」
言いながら、軽く体当たりをする。ちょっと当たっただけなのに、グラリと体が揺れてしまった。
――かなり気まずい。
「えっと、あの……」
上手く言葉が出てこない。何と言っていいのやら……
……写真を持っていた。今彼と元彼を合わせて、隠していたということをしていたので、何と弁解していいのか、言葉が見つからない。
「山上、すげぇカッコイイのな。どこが目もと似てるんだ、嘘つき水野」
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