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危うく無様に転倒しかけた瞬間、後ろからしっかり抱きしめる二本の力強い腕。密着する体に、頬が急速に赤くなった。
俺、……翼に抱き締められている――触れ合った部分から熱が伝わってきて、身体が熱くなっちゃうじゃないか。
「段差も何もないトコで、器用にコケるなよ。下手にケガしたら、俺のせいにされんだろ」
ゴミを捨てるように、ポイッと体を離された。その途端、急速に体温が下がっていく。
「あ、ありがと。気をつけるね」
真っ赤な顔を見られないよう、あさっての方を見てお礼を言った。ああハプニング、万歳……
「俺が案内してるんだから、勝手にウロウロすんな」
チッと舌打ちしてから、さっさと左に曲がって歩いて行くツン。その冷たい背中を見て、コッソリため息をついた。本当に厄介な人に恋をしちゃったな。
俺はドキドキする胸を抱えながら、静かにあとをついて行ったのだった。

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