転:絡まる恋(続き3)

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 気がついたときには、ベッドでただ泣いていた。  ぽとぽとと布団の上にシミを作っていくのは分かっているけれど、それを拭う気力も湧かずに、ただ流れるままだ。  どうやって帰ってきたのか分からない――なんてことはない。  ちゃんと家に着くまでどういう経路で返ってきたかも覚えているし、家の鍵を鞄から取り出して鍵穴に差し込んだことも記憶してる。  でもそこからお風呂に入って、着替えてお水飲んで……それからベッドの上で三角座りして涙が流れるまでの経緯については曖昧。  ただもう気がついたらボロボロだった。  顔も心も、何もかも。  外界から遮断されて、なんの武装もしなくて良いんだって感じた瞬間、気が付いた時にはボロボロになってた。  この涙が、何の涙かなんて私にはよく分からない。  ただ分かっていることは――補佐にとって、木橋恵さんとのことは全く過去になってなくて、まだ輝いたままの存在として補佐の中にあるっていう事実だけだ。  そこに私が入れるのかなんて想像することもままならない。  でもそれが悲しいのか悔しいのか、どうでもいいのかなんてことも分からない。  もう一つ言えることは、だからと言って補佐に対する気持ちが全く無くなってないこと。  いろんなことがいっぺんに起きると人間もショートするんだな、なんて他人事のような感想が浮かんで時計を見るともう夜の7時だった。  補佐の家を飛び出したのが、遅くとも2時だったとして……そこから5時間の記憶が曖昧だ。  何か食べたいという欲もなくて、立ち上がって何かしたいという意思も持てない。  けど、涙は出尽くしたからただ座ってるだけは苦痛になってしまった。  それなのに動けない。
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