転:絡まる恋(続き3)

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 『もーゆー!』  しかし、玄関から大声で私を呼ぶ声が聞こえてきて、私は慌てて走り出した。  間違いない――先ほど通信を絶ったはずの先輩は今ドアの前だっ!  パタパタっ  走ってガチャガチャとカギを開けようとすると、それを待たずして恐ろしい声が飛んできた。  「早く開けなさい!」  「た、只今っ!」  ひぃいいっ! と心の中で叫びながら、扉の向こうにいるのは優しい先輩じゃなくて、鬼か何かじゃないかと思いながら慌ててカギを開ける。  さっきまでは穏やかな八重子先輩だったはずだ。このままドSな八重子先輩を降臨させるわけにはいかない!  私が必死の形相で扉を開けると、どうにか間に合ったのだろうか。  「飲むわよ、萌優」  にっこりと微笑む八重子先輩と  「来ちゃった」  これまたにっこり笑う真子が立っていた。  「え……?」  突然の来訪に驚きが隠せず立ち尽くす私を押しのけて、先輩は自分の家のように平然と上がり込む。  「はい、退いて。邪魔よ萌優」  私の記憶する限り、八重子先輩が家に来た記憶はない。  だとすれば、真子に連れてきてもらったのだろうか?  それにしても、そこまでしてわざわざ私の家になぜ来たんだろう……混乱したままの私は、ひとまず二人を家に招き入れた。  「ふーん、結構いいとこね」  私の部屋をぐるりと見渡して『私ココ』と言いながら、八重子先輩は嬉しそうにミニ座椅子に座った。  どうぞ、とも何も言っていないのに勝手に座っておきながら「小さい、コレ」と文句を垂れている。  さすが八重子先輩、いろいろ強者ぶりを早くも発揮している。  妙な感心を抱いていると、もう一人の強者が声を上げた。  「萌優、氷冷凍庫入れさせてねー」  言いながらすでに勝手に冷蔵庫を開けて、グラスを引っ張り出しているのは真子だ。  ――なんなんだ、この自由人二人は!!
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